症例プロフィール
動物種:猫
犬種:MIX
年齢:14歳9ヶ月齢
性別:去勢雄
体重:6.6kg(BCS:4/5)
主訴:2週間前に尿道閉塞でかかりつけ病院を受診。膀胱内に砂状の結石を認めた。以前より結石用フードを食べており、PH6.0で維持していたにもかかわらず結石が形成されていたため、食餌療法でのコントロールは困難と判断。尿道の閉塞はすぐに解除できたが、尿道閉塞を繰り返す可能性を考慮し、会陰尿道瘻を実施するために当院を紹介受診。
術前検査
血液検査所見
WBC 28200/μL、Ht: 37.3% 、TP: 9.5g/dL、Alb: 2.8g/dL、ALP: 214U/L
CRP: >7.0mg/dL
レントゲン検査所見
胸部レントゲン検査では特に異常は認められず。
腹部レントゲン検査では、膀胱内に結石状の病変は認めず。
超音波検査所見
膀胱内に砂状の結石を認めた。
手術所見
紹介病院の先生にも手術に参加していただき、会陰尿道瘻を実施。
Poin1 <坐骨海綿体筋の切開>
坐骨海綿体筋は、坐骨結節内側の坐骨枝から起こり、陰茎海綿体を包んでいる筋肉です。
坐骨の付着部で切開すると出血しません。この筋肉をリリースすると陰茎をより尾側に牽引することができるようになります。
Poin2 <尿道の切開>
尿道は、尿道の背側正中を切開すると、出血がありません。また、陰茎の坐骨海綿体筋付着部の吻側に尿道球腺があります。尿道切開は尿道球腺部まで行いましょう!
Point3 <尿道の縫合>
尿道を縫合するときは、尿道粘膜をしっかりと拾って皮膚と縫合しましょう。
尿道粘膜は、やや光沢があり白みがかっています。肉眼で確認してしっかりと縫合しましょう。
術後経過
術後尿道にバルーンカテーテルを設置。術後4日目にカテーテルを抜去し退院。
1週間後に血尿、頻尿が見られたが、尿道の閉塞や術創の離開は見られず。
尿検査にて膀胱炎と診断し、治療を実施。その後症状は改善。その後の経過は良好。