東京小動物外科センター

2023.01.17 Case Report

Case Report vol.1 脾臓腫瘤

症例プロフィール

動物種:犬

犬種:パグ

年齢:10歳1ヶ月齢

性別:未避妊メス

体重:9.7kg(BCS:4/5)

主訴:2ヶ月前に発情出血あり。4〜5日前に陰部より血膿様のおりものの排泄を認めた。中高齢の肥満気味の短頭種であるため、麻酔のリスクなどを考慮し、当院を紹介受診。予約時に子宮蓄膿症が疑われたため、緊急性を考慮し、当施設にて診察・術前検査を行い、同日に手術を実施。

術前検査

血液検査所見

WBC 28200/μL、Ht: 37.3% 、TP: 9.5g/dL、Alb: 2.8g/dL、ALP: 214U/L、CRP: >7.0mg/dL

レントゲン検査所見

胸部レントゲン検査では特に異常は認められず。腹部レントゲン検査では、左側上腹部に腫瘤状病変を認めた。

超音波検査所見

脾臓の脾尾部に直径約8cmの腫瘤状病変あり。液体貯留を伴う子宮の拡張所見あり。

手術所見

子宮・卵巣摘出術、脾臓摘出術を実施。腹腔内に腹膜炎を疑う所見や、腹腔内播種を疑う所見は認められず。麻酔の維持・覚醒は良好。

術後経過

手術当日夜より食欲あり。術前に中程度の脱水が見られており、点滴にて補正後、貧血(TP:6.5、Ht:26.5%)が見られたが、呼吸状態も良好で、食欲も良好であったため術後3日目に退院。

病理組織学検査結果

脾臓腫瘤:血腫

退院後の治療について

腫瘍性病変ではなかったため、術後の追加治療は必要なく、抜糸や術後の再検査はかかりつけ病院にて実施していただくこととなった。本症例は、しばらく定期的な検診を行なっておらず、子宮蓄膿症の検査時に偶発的に脾臓腫瘤を発見した。今後はかかりつけ病院にて定期的に健康診断を行なっていくこととなった。

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